はじめに:自己紹介
はじめまして。メガベンチャーに新卒で入社し、フロントエンドエンジニアとして働いていたのですが、気づいたらSREへの転生が始まっていたものです。
毎日が新しいことだらけで、インフラの知識、監視設計、オンコール対応……覚えることが多すぎて、正直頭がパンクしそうでした。
そんな自分が最近ハマっているのが Obsidian × Gemini CLI の組み合わせです。 この記事では、新卒エンジニアの自分がどうやって日々の学びを整理し、チームに貢献できるようになってきたかを書きます。
新卒エンジニアあるある:こんな悩みありませんか?
入社してしばらく経つと、こんな状況になりませんか?
- 勉強したことをメモするが、後から全く見返せない
- 業務の振り返りをしたいが、どう書けばいいかわからない
- チームの勉強会でアウトプットしたいのに、ネタが整理できていない
- 先輩に質問するたびに「さっきも聞いたな…」と自己嫌悪
- Notionに書いたはずのメモが迷子になっている
特にロールチェンジ(自分の場合はフロントエンド→SRE)が絡むと、覚え直すことが倍増して、ナレッジ管理の問題が一気に表面化します。
新卒特有の問題もあります。 「自分の知識のなさ」はわかっていても、「何をどう学んだか」の記録がないから、成長が見えにくい。評価の場面でも「何をやってきたか」を言語化できない、という罠にハマりがちです。
Obsidianで解決できること
Obsidianはローカルに.mdファイルを保存するノートアプリです。
NotionやConfluenceと何が違うのか。一番のポイントは 「自分のPC上にファイルがある」 という点です。
これが後述するAI連携で大きな意味を持ってきます。
自分のVault(ノートの置き場)はこんな構成にしています:
Obsidian Vault/
├── 00_Inbox/ # とりあえずここに書く
├── 01_Daily/ # 日次振り返り
├── 02_Learning/ # 勉強メモ(SRE・インフラ・フロントなど)
├── 03_Projects/ # 業務プロジェクトごとのメモ
├── 04_Sharing/ # チーム共有用にまとめた記事ネタ
├── _Templates/ # テンプレート置き場
└── _Attachments/ # 画像・図
ルール はたった一つ:迷ったら00_Inboxに書く。
完璧な構成を最初から作ろうとすると、構成を考えること自体が目的になってしまいます。まず書く、後で整理する、これだけで十分です。
Gemini CLI × Terminal Plugin でできること
ここからが本題です。
ObsidianにTerminal Pluginを入れると、Obsidianの画面を離れることなくターミナルが使えます。そこでgeminiと打つだけで、自分のVault内のファイルをAIが直接読んで操作してくれるようになります。
実際にやっていること
① 日次振り返りを自動でまとめる
> @01_Daily/ の今週分のメモをすべて読んで、
学んだことを技術カテゴリ別に整理して
月曜〜金曜にバラバラ書いたメモが、週次サマリーに変換されます。
② 勉強メモから記事の構成案を作る
> @02_Learning/SRE/ の中にあるメモをもとに、
社内勉強会で話せそうなテーマを3つ提案して
「勉強はしてるけどアウトプットのネタがない」問題が解消されます。
③ テンプレートとセットで使う
テンプレートを用意しておくと捗るTips
TemplaterプラグインとGemini CLIを組み合わせるのがおすすめです。
日次振り返りテンプレート(例)
---
date: {{date:YYYY-MM-DD}}
tags: [daily, {{date:dddd}}]
---
## 今日やったこと
## 詰まったこと・疑問
## 学んだこと・気づき
## 明日やること
毎日このテンプレートを使って書いておけば、週末にGemini CLIへ「今週分まとめて」と投げるだけで、振り返りが自動生成されます。
勉強メモテンプレート(例)
---
topic:
source:
date: {{date:YYYY-MM-DD}}
tags: [learning]
---
## 何を学んだか(3行以内)
## なぜ重要か
## 実際の業務での使いどころ
## 参考リンク
「実際の業務での使いどころ」を書く欄があるだけで、インプットが格段に実践に結びつきやすくなります。
実践:Obsidian × Gemini CLI のセットアップ手順
ここからは、実際にこの環境をご自身の環境に構築するための具体的なセットアップ手順を解説します。
1. Obsidian のインストールと基本設定
まずは Obsidian 自体を準備します。
- Mac (Homebrew) でインストールする場合:
brew install --cask obsidian - 公式サイトからダウンロードする場合: Obsidian 公式サイト にアクセスし、お使いのOSに合ったインストーラーをダウンロードしてください。
インストール完了後、Obsidian を起動して「新規保管庫 (Vault) を作成」を選び、任意の保存先(例: ~/Documents/Obsidian Vault)を指定します。
その後、エディタまたはFinder/ターミナルから、記事内で紹介したフォルダ構成(00_Inbox, 01_Daily など)を作成します。
2. コミュニティプラグインの導入
次に Obsidian の設定画面(左下の歯車マーク)を開き、「コミュニティプラグイン」 を有効化します。その後、以下の2つのプラグインを検索してインストール・有効化します。
① Templater(テンプレート拡張)
日次振り返りや勉強メモの作成を効率化するために使用します。
- コミュニティプラグインの検索で
Templaterと入力し、インストールして有効化します。 - 有効化後、設定画面でテンプレートファイルが置かれているフォルダ(例:
_Templates)を指定します。
② Terminal(エディタ内ターミナル)
Obsidian の画面内でターミナルを起動し、Gemini CLI を呼び出すために使用します。
- コミュニティプラグインで
Terminal(またはObsidian Terminalなどの同様のターミナルプラグイン)を検索し、インストールして有効化します。 - 有効化後、サイドバーやコマンドパレットから Obsidian の中で直接ターミナル(zsh / bash)が開けるようになります。
3. Gemini CLI のインストールと API キーの設定
ターミナルから Gemini AI にローカルノートを分析させるための CLI ツールをセットアップします。
① Node.js のインストール
Gemini CLI は Node.js 環境で動作します。未インストールの場合は導入しておきます。
- Mac (Homebrew):
brew install node
② Gemini CLI のグローバルインストール
npm を使って、Gemini CLI ツールをインストールします。
npm install -g @google/generative-ai-cli
(※プロジェクトや用途に応じた別の CLI ツールを使用する場合は、npm install -g gemini-cli など適宜読み替えてください)
③ Gemini API キーの取得と環境変数の設定
- Google AI Studio にアクセスし、Google アカウントでログインします。
- 「Get API key」(または Create API Key)をクリックし、API キーを生成してコピーします。
- 取得した API キーをターミナルで読み込めるよう、シェルの設定ファイル(Mac のデフォルトは
~/.zshrc)の末尾に以下を追記します。export GEMINI_API_KEY="AIzaSyあなたのAPIキー" - 設定ファイルを実行して適用します。
source ~/.zshrc
ターミナルで gemini "テストの返答をお願いします" と入力し、Gemini からの返答が得られれば成功です。
4. Obsidian と Gemini CLI の連携・実行
すべてのツールが揃ったら、Obsidian 内で Terminal プラグインを使ってターミナルを開きましょう。
Vault のルートディレクトリに移動していることを確認し、以下のようにコマンドを実行します。
# 勉強メモ(SRE)の内容を読み込ませ、社内勉強会用の発表テーマ案を3つ出してもらう
gemini "以下のメモを読み込んで、チームの勉強会で話せそうなテーマを3つ提案してください。 $(cat 02_Learning/SRE/*.md)"
Obsidian はプレーンな Markdown フォルダで構成されているため、cat や grep、find などのターミナルコマンドを使って Gemini CLI にテキストを流し込むだけで、簡単に自分専用のローカルナレッジAI環境が構築できます。
まとめ:新卒だからこそできることがある
最後に、少し視点を変えた話をします。
「ドメイン知識はなくても、AIの活用力は同じ」
先輩社員と自分を比べると、業務知識・技術の深さでは当然かないません。でもAIの活用スキルに関しては、入社年次は関係ありません。むしろ、固定観念が少ない分、新卒のほうが柔軟に使いこなせることも多いです。
「新卒から見た問題点は、むしろ指摘すべき」
入社したての視点だからこそ、チームの課題が見えることがあります。「なんでこのドキュメント更新されていないんだろう」「この手順、もっとシンプルにできないか」という疑問は、Obsidianで記録しておくと後から整理・提案できます。慣れた先輩たちには当たり前になっていることが、実は改善の余地があるポイントだったりします。
「日々の学びをチームに共有することで、チームを良くする」
自分のメモをそのまま社内Wikiに貼る、週次でSlackに学んだことを投稿する。小さいことでも継続すると、「あいつ、ちゃんと学んでるな」という信頼につながります。そしてそれは、評価の場面でも自分の言葉で語れる実績になります。
Obsidian × AIは、単なるメモ効率化ツールではなく、新卒エンジニアが自分の成長を可視化し、チームへ貢献するための武器だと思っています。
ぜひ試してみてください。